もし誰もいない森のなかで…

古くからある有名な問い。
「もし誰もいない森のなかで木が倒れたら、その木は音を出したと言えるか?」

木が倒れたら周囲に響き渡るほど音が鳴るのは当然なのですが、もしそれを誰も目撃していなかったとしたら…?
言いかえれば、誰にも共有されなかった事実は、事実たりうるか…?

 

 

最近観なおした映画
「Blow-up」(1966 / ミケランジェロ・アントニオーニ)

ある有名な若い写真家が体験する、白昼夢のような1日を描いた作品です。

 

 

 

 

 

 

ある朝主人公はロンドンの公園で、偶然発見した逢引きをするカップルの写真を夢中で撮ります。
カップルは若い女性と、年配の男(不倫の臭いがします)。
撮影がバレて、若い女性にフィルムを渡すよう問い詰められますが、傲慢な主人公は彼女を無視します。

 

 

 

 

 

 

スタジオに帰って現像してみると、写真の出来は素晴らしいものでした。
撮られた女はスタジオの住所まで特定してフィルムを取り返しに来るのですが、主人公は写真集にぜひ収めたいと考えているので、彼女を冷たくあしらって空手で帰らせます。
「何故女はそこまでフィルムに執着するのか?」
主人公は現像して引き伸ばした写真をふと見て、奇妙な違和感に気づきます。

 

 

 

 

 

 

写真の一部に何かが写り込でいるように見えるのでした。
写真を引き伸ばして(blow-upして)、その個所を拡大していくと、、、

草陰から銃でねらう何者かと、木のしたで横たわるあの年配の男の姿が。

 

 

 

 

 

 

 

急いで公園へ行くと(もう夜中です)、果たして本当に男の死体はあったのでした。

そして自宅に帰ると写真は何者かに奪われていました。

友人に相談するため、パーティ最中の友人宅へ向かいます。
しかしマリファナに酔った友人に「お前はなにを見たんだ、お前はなにも見ていない…」と意味深なことを言われます。

 

 

 

 

 

 

パーティーの翌朝、公園へ戻ると何故かそこに死体はありませんでした。

主人公の頭は混乱してきます。………朝から街中で騒いでいる左翼の若者たち、骨董屋で惹かれるようにして購入した飛行機のプロペラ、骨董屋の店主、近くに住んでいる画家の友人とその彼女、地下のライブハウスでの出来事、壊れたギター、友人宅でのマリファナパーティ、写真に撮ったはずの男女、あったはずの死体…

 

映画の最期、無言のテニス劇は有名なシーンですね。
左翼の若者たちと、パントマイムでテニスの試合。
この物語全体のテーマを暗示しているようです。
ラケットもボールもありませんが、主人公がそこに参加することで、映画の画面からはボールを打ち合う音がかすかに聞こえてくるのです…

殺人はあったのか?なかったのか?
ひとりだけで経験した事実は、真実になるのか…?

 

 

 

 

 

詳しくは映画を観て考えてみてください…

 

今回は締め切り前日の土曜日にこのブログの更新を終わらせたので、日曜日の夜は楽しく会食しました!

スパークリングワインは万能ですね!

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