もともと櫛羅という名前にしても瓶のラベルにしても地味だし、ドライなお酒という情報しか知らず、自分の中でどこか無味乾燥な印象が、このお酒に先行してしまっていたかも知れません。
ところが実際味わってみると思ったより運動感があり、ドライななかにも後味に旨味があって、なにより口当たりの名状しがたい微妙さが特徴的でした。
高貴な水みたいな口当たりがあります。
口に含んで咀嚼すると、水それ自体が生き生きと語りだすような瞬間が度々訪れるのが印象的でしたね。
ピチピチとしたガス感のせいということでしょうか。
もしこの口当たりの清涼感に行きずりの注意しか払っていなかったら、ドライかつ旨味のあるお酒というだけの印象にとどまっていたかも知れません。
硬くも滑らかな口当たりが、常に二杯目を注ぎたくなる誘惑を感じさせます。
グラスに入ったお酒も、エナメルのような光沢があり、ほんのりと官能的な色合いを帯びています。