1ヶ月ほど前に社長に飲ませてもらってからその独特な味が忘れられず、昨日じぶんで買って飲みなおしてみました。
香りはちょっとバナナのような、それでいてフルーティでは決してない甘い香りがします。
口に含んだときのファーストタッチは、自分的にはドライな印象ですね。
そのあとにくる味わいが、とても複雑で、形容しがたいのが特徴だと思います。多少のドライさはずっと続くのですが、濃厚とも少しちがった不思議で繊細なリズムや協和音に満ちている感覚が口に広がる感じですね。そしてそれが後味までしばらく舌に残ります。
今までに飲んだ日本酒とは明らかに違う印象を受けます。(飲んだことのある日本酒はまだまだ少ないですが…)
フルーティでおいしい、とか、ドライで辛口でさっぱり切れてよい、もしくは濃厚でじっくり飲むとおいしいなど、そういったわかりやすい形容ができないところに魅力を感じました。
大げさにいえば黒龍の味わいは、自分がまったく忘れていたりおそらくはまったく知らなかった経験へのほのめかしに満ちた世界でした。
もし具合よくバランスのとれた、まとまりの良いお酒であれば、このような表現に困る複雑で繊細な、苦味・辛み・渋みなどはなく、調和的に自分を表現できているのではないでしょうか。
ですがこの黒龍はつねに、いまだ表現されずに残っているもの、ついに把握できなかった何ものかが潜在している感じがしますね。
黒龍酒造さんがどのような酒蔵なのかまだ無知な自分です。
しかし、このような不可思議な味わいが、とらえにくいテーマに挑戦する黒龍さんの死に物狂いの勇気を示すものであると、初心者の自分は勝手に解釈した次第でした。